平気で嘘をつく素人たち2019.07.17

ふらっと立ち寄ったとあるオンラインハンコショップでは、また嘘で塗り固められていました。
プロからすれば明らかに機械彫りなのに、職人が手掛けているという。

 

ここでのポイントは、手彫り職人とは一切書いていないこと。
職人といっても、ただの機械オペレーターの可能性が高い。
そんな素人が作ったハンコに信頼性なんてあるはずがない。

 

印鑑という単語を乱用している時点で、少なくとも専門家は関わっていないでしょう。
本来は、自治体や金融機関に登録してあるものを「印鑑」と呼びます。

ハンコ屋で印鑑は売っていません。印章を売っています。


だいたい、職人の名前すら書いていない時点でまず疑わしい。

 

無知な客をまんまとだまして劣悪品を売りつける悪徳商法に他ならない。
売っている店側の人間ですら、そこに何の疑問も持っていない可能性すらありえる。

 

納期の速さと安さには、理由があること。
それに見合った危険性があるということ。
そのことを全てのハンコ屋が明記するべきなのに。

 

買った本人は、その嘘に気づいていない。
嘘だと思う余地すらないほど、それがあたりまえになってしまっている。

 

業界自ら、ハンコの地位を貶めてきた結果である。

 


需要が減るのも当然です……。

 

 

そんな怒りを抱きつつも、今日も手作業でハンコを彫ります。

 

本物を求めてくださる、お客様のために。

 

 


参考:
意外と知らない、ハンコ、印鑑、印章の違い
騙されているかも? ネットショップの嘘を見抜くポイント5つ


手書き文字をハンコに2019.07.05

 

通常、ハンコを彫るときにまずすることは、手書きでの印稿作りです。
PCのフォントをそのまま使ったりするのは、同型印を量産することにつながるので避けなければなりません。
本来はちゃんと技術をもった職人が、一つ一つ丁寧に彫ることで信頼の証となるわけです。

 

なのに実際は、技術のないハンコ屋が大部分なのが現状です。
大量生産されたハンコが流通し、その価値は下がる一方。

 

「ハンコは安くてすぐ買えるもの」

 

そんな誤解が常識になってきてしまっている。


その現実を直視せず、利益を追求し対策をとってこなかった業界にも責任はあります。


だからこそ、我々技能士は本来のハンコのあるべき姿を発信していかなくてはならない。
技術あっての印章だと、訴え続けなくてはなりません。

 

 

使用者の権利と主張を示す大切なものなのに、いくらでも偽造できる安価なもので済ませていいのでしょうか。
大事な局面で捺されたそのハンコが、一目でフォント字だとわかるような味気ないものだとしたら。
「その程度の覚悟しかない」と思われても当然だと思います。

 

最悪、機械彫りのハンコが原因で、偽造され訴訟問題にまで発展する可能性もあります。
そういった事例がないわけではないのです。

 


ハンコを捺す行為は、それ自体が捺した本人を表すもの。

 

安物を使って自分の価値を下げるなんて、もったいないと思います。

 

 


前置きが長くなりましたが、改めてそう思うきっかけが、先日のご注文にありました。


「手書きの文字でハンコを作ってほしい」


そのお客様が提示されたのは、筆で書かれた立派な字でした。
ほかの店にもあたったものの、全て断られたとか。

 


なるほど確かに、筆字をハンコで表現するとなると、文字のかすれ具合をどうするかが問題となる。
彫刻する以上、すべて完璧に再現するのは不可能ですが、まったくできないことではない。
そのラインをどこまで上げるかが、腕の見せ所となるわけです。

 

機械彫りしかできないお店では、もちろん無理です。

 

そもそも機械では、曲線が彫れません。
どうしてもギザギザになってしまい、その間に朱肉が入りこんでぼたついた印影になってしまいます。
ちゃんとした印材で、ちゃんとした朱肉で、ちゃんとした捺し方をしても、です。

 

 

そこで、手彫り職人が彫るとどうなるか。

 

 


(すべては載せられないので一文字のみ)


繰り返しますが、手彫りで完全再現は不可能です。
自分としてもまだまだ修正箇所は見受けられますが、少なくともお客様は満足していただけたようです。

 

結局は、お客様次第。

 

そのご要望にどれだけこたえられるかが、職人としての価値だと思います。

 


売る側と買う側、両方に試される覚悟2019.05.25

仲邑菫 印稿

 


練習として、仲邑菫さんの実印用印稿を勝手に作ってみました。


適当な名前でもよかったのですが、せっかくなので有名人で。


プロ入り最年少記録を樹立した棋士の彼女。

暗くなる話題が多い昨今、若い世代の活躍が報道されると少し気持ちが軽くなる気がします。

 

 

さてこの印稿。

 

これで完成ではありません。

 


下書きをしたとはいえ、筆で一回書いただけなのでかなり荒いです。
今見ても、数々の改善点が……。

それらをすべて挙げるのは大変ですし、今回の趣旨はそれにあらず。

 

 

苗字と名前で、文字数が違う人は大勢いらっしゃいます。

今回の場合、二文字の「仲邑」方を少し幅広に、一文字の「菫」をやや縮めて配置しています。
「菫」の字のほうが、やや細くなっているのがおわかりでしょうか?
こうすることで、全体として偏らない整った印稿になります。
逆にやりすぎると全体のバランスが崩れてしまうので、そのバランス感覚も必要です。

 

ほかにも、隣同士の文字の大きさにも気を配ったり、変に密度に差がある場所がないか探したり。
線一本一本にまで気を抜けません。

 


いい印稿を作るためにする作業は、最初に辞典からどの文字を拾うか考えるところから始まります。

むしろ、彫るよりも印稿を作る時間のほうが大事であり、時間が長くなったりもします。

 

いくら彫る技術があっても、一番大事な印稿がおろそかになっては、一級技能士を名乗る資格はありません。
機械のフォントをただ当てはめただけの印稿では、血の通ったものなどできません。

 


ハンコ職人は、お客様にお渡しするハンコに対してとことんこだわります。

 

それが、大事なお名前をお預かりする者の責任であり、義務です。

 

 

もしあなたがハンコを依頼するなら。


あなたのための「最良」を追求し続けるハンコ職人ですか?

 

フォント字を並べることしかできない彫刻機オペレーターですか?

 

 

その覚悟に、こちらは全力でお応えいたします。


新商品販売のお知らせ2019.05.05

長すぎると感じた10連休も、残すところたった一日。
有意義に過ごすことができましたでしょうか?

 


自分はというと、どこへも出かけずに家で作業してました。
といいますのも、ネットショップに新商品を追加するためです。

現在の本柘、黒檀、彩樺、アグニに加えて、新しい印材を追加します。

 

 

印材・牛角黒 ケース付き
「牛角黒・上芯」

 

印材・牛角白・色 ケース付き
「牛角白・色特上」

 

印材・牛角白・純白 ケース付き
「牛角白・純白特上」

 

印材・象牙 ケース付き
「象牙・特上」

 


印材の説明はこちら

 


ついに、ハンコの王様、象牙の登場です。
そのほかも、木の印材よりも断然ランクの高い高級印材ばかり。

 

むしろ、なぜ今までなかったのか。
手彫り・技術を売りにするならば、これら高級印材こそふさわしいのに。

 


単純に忙しくて時間がなかった、というのもあります。

でもそれ以上に、いざ追加しようとしたら、予想以上に手間と時間がかかってしまいました。

 


なによりてこずったのが、Excelを使った値段設定。
今回、既存の印材すべて値段の計算方法を見直す必要があり、新旧合わせて全部の値段を考えることに。
他店の値段も調査しながらでしたので、どうしても時間がかかります。


説明文を考えたり、商品の画像を用意したり、実際にサイトの手直しをしたり……。
連休だからこそ一度にできた感じです。
まさか、連休がほぼつぶれるとは思いませんでしたが……。

 

 

でもようやく、ようやく次の一歩に進めます。

5月7日から、新印材での販売が開始します。

 

決して安いものではありませんので、ご購入の際はよくご検討ください。
もちろん、ご相談もお受けいたします。

 


よろしくお願いいたします。


一年の締めくくり2019.04.25

 

先日はハンコの講習会の最終日、席上コンクールの日でした。
一年間の集大成として、一日で仕上げて提出する課題。

 

一日と言っても、技能グランプリのように最初から取り掛かるのではなく、ある程度進めてからです。
なのでだいぶ時間をかけられます。

 

 



写真は、荒彫りの終盤。
ここから細かいところを彫ってから仕上げに入ります。

 

実はこの課題、先日の技能グランプリの課題と同じです。

つまり、練習と本番を合わせると今回で6回目となります。
ここまでくるとさすがに子慣れてきた感がありますね……。

 

「竹田城跡城主赤松廣秀」と逆字で書いてあります。

 

 

こちらを仕上げて無事に提出したわけですが……。

印影を見返してみると、確かに時間をかけただけ丁寧に彫れているのですが。
逆に字の勢いが前より減ってしまった印象がありました。
なんでも完璧を求めがちな自分の悪い癖です。

 

 

先日も仕事で、「いいハンコ」を追い求めるあまりに、予想以上に時間がかかってしまいひどい目にあったばかり。
値段は変わらないのに。

 


つくづく、まだまだ自分は経験が足りないと痛感する日々です。