仕事環境って本当に大事。2017.06.12

 

普段の木口彫刻では、回転式で角度のついた作業台でハンコを彫っています。
しかしゴム印は、角度がついていると台から滑り落ちてしまうので、あえてフラットな作業台で彫っていました。

 

そのため、どうしても姿勢が悪くなり首や肩に負担がかかり、数時間も彫っていれば痛くなる始末。
そうなると集中力も続かないし、効率も落ちる。
どうにかならないかと考えた結果……。

 

ふと思い立つ。

 

木口で使う篆刻台にそのまま板を張り付けてゴム印を彫ればいいのでは?

 

これならすべり落ちないように手で押さえる必要はないし、回転も楽。
むしろなぜ今まで気づかなかったんだろう……。

 

現に、この状態でゴム印を彫っても首や肩が痛くなりませんでした。
これはいい。

 

8月のゴム印の検定試験に向けて、練習を重ねなければ。


暑い夏がやってくる……2017.06.10

改めて書きますが、自分は手彫りハンコの国家資格、一級印章彫刻技能士の資格を持っています。
柘植や黒檀などの木材の印材、黒水牛などの牛角の印材、果ては象牙の印材も彫れます。

 

そうした印材に彫刻を施すことを「木口(こぐち)彫刻」といいます。
その技術を厚生労働省が認定したのが、この資格なわけです。

 

 

一方、ハンコといえばもう一つ思い浮かぶのが、ゴム印

 

昔は今のようにゴム印を彫る機械なんてありませんでしたから、全て職人の手作業でした。
木口彫刻と同じく、手彫りゴム印の一級技能士の資格も存在します。

 

しかし、ただでさえ手彫り職人の数が減り、手彫りでゴム印を彫る人なんて数えるほどになってしまいました。
その絶滅寸前ともいうべき貴重な技術を、僕は講習会で学んでいます。

 

 

前置きが長くなってしまいましたが、その手彫りゴム印の検定試験が、8月にあります。
自然な流れで、自分もそれに挑戦することになりました。

 

目指すはもちろん一級。

 

ただ、決めたのが本当に最近なので、あと二ヶ月でどこまでできるか分かりません。
試験の課題も、現時点でちゃんと終わらせられるか正直不安です。

 

でもこのままいくと手彫りゴム印の資格自体がなくなるかもというので、ダメ元で挑戦してみます。


篆書古印:百福2017.05.31

  

 

205mmゴム印 篆書古印:百福


講習会のコンクールで彫ったゴム印です。
彫ってあるのは全て「福」の字。文字通り百通りの福の字が並んでいます。

 

もちろん字にもよりますが、一文字でこれだけのバリエーションがある。それが篆書の魅力です。
その篆書体に、古印体の要素も取り入れることにより、より味わいのあるハンコができあがりました。

 

なにしろ大きさが一辺約20㎝もあるので、彫るのも並大抵ではありませんでした。
切り回しという、文字の輪郭にそって切れ込みを入れる作業があるのですが、一行を終わらせるだけで数時間はかかります。
それを10列。
そのあとには、文字の間を浚って切り離す作業があり、途方もない作業量と時間、そして集中力を要しました。
当然、ミスをしてしまえばそこで終わりです。

 

もし同じものを彫ってほしいと言われれば、相当の額を頂かなければならないでしょう。

 


これを捺した印影だけでも結構な存在感ですので、現在は額に入れて作業机の上に飾っております。


篆書・小篆:渋谷凛2017.05.27

  

 

15mm(五分丸)篆書・小篆:渋谷凛

 

仕事ではなく、練習で彫ったものです。
実はこの並びで紹介されている作品はほぼ全て練習ではありますが。

 

今回は、「アイドルマスターシンデレラガールズ」というゲームのキャラから、渋谷凛ちゃんを彫ってみました。
一番好きなキャラなので、より丹精込めたつもりです(笑

 


一番よく彫るのがこの篆書体ですが、本当に奥が深い書体です。
大きな振り幅の中で、いかに整った印章に彫りあげるか。
文字の選び方、配置の仕方、隣接する文字とのバランス。
彫る人によって本当に千差万別です。

 

結果として出来上がったハンコが、もしお客様の希望通りであったのなら本望。
そんなことを思いつつ、彫刻しております。

 


さて今回のハンコですが、まだまだ自分の未熟さを思い知りました。
文字の高さがそろっていない、文字の曲げ方、縦線と横線の太さのバランス。
改善点は多いです。

そこに気づけただけよしとして、次につなげたいと思います。

 


篆書:春光都在五雲中2017.05.26

 

30mm(一寸角)篆書・印篆:春光都在五雲中

 

「春光都在五雲中」(しゅんこう すべて ごうんのなかに あり)

 

春の光の色はすべて五色の雲の中にある。

 


講習会のコンクールで彫ったものです。
文字によって画数の差が大きく、しかも綺麗に文字数が割り切れない。
非常に難しい課題でした。

 

苦労して印稿を作り、がんばって彫りあげたものの……自分の中でどうもしっくりこない。
改善点が漠然としていて、うまく答えが出せない。
それが分かるようになるには、まだまだ時間がかかりそうです。