堀松印房

過去の自分と再会2017.04.13

 

部屋の片づけをしていたら、数年前に彫ったハンコが出てきました。

 

外周(回文)と内周(中文)に分かれた、役職印と呼ばれるとても細かいハンコです。
直径は18mmしかありません。
裏に2012年とあったので、一級技能士の資格を取るために練習で彫ったものですね。

 

一級の試験は、事前に通知された20種類の課題から、当日にくじで引いた課題を5時間で彫りあげるというもの。
そのため、事前にその20種類を全て彫ってから当日に挑みました。
これはその一つです。

 

ですが今見ると……あちこちに改善点が。

 

短時間で彫りあげなければならないので、かなり急いで彫ったとはいえ。
今の自分だったらこうする、という箇所がいくつも見つかりました。

 

この数年で、それを見分ける実力がついてきたという証拠でしょうか。

 


一級の資格を取ったからと言って、もちろんそれで終わりではありません。
むしろ出発点と言ってもいい。


前回よりも、いいハンコを。

それを常に心がけて、明日も頑張ります。


入学祝に2017.03.27

 

うちの姪っ子がこの春に小学校に入学するので、そのお祝いに手彫りのゴム印を作ってみました。
彫る作業自体はすぐ終わったのですが、実はその他に時間をかけすぎてしまいました……。

 

印面を保護する印袴、こちらは毎回手作りするのでそれだけで手間がかかります。
しかもハンコの大きさがやや特殊だったため、材料のサイズを決めて切り出すところから始めなければなりません。

 

そして装丁に使ったのが、こちらも手作りの折り紙の箱。
折り紙の本を見ながらの作業で、慣れない作業にまた時間がかかり。
ひと箱作るのに8枚も必要なので、それだけでもかなりの手間です。
しかも本の通り作ったら、フタと本体の大きさに差がありすぎたので、二回折りなおしてます。

 


それだけ手間と時間をかけただけあって、それなりに格好はついたと思いますが……商品にするのは難しいですね……。

 

折り紙は楽しいですが、それこそ機械並みに正確に折らないと綺麗な形にならないので、実は大変な作業です。


訃報2017.03.14

 

久々の更新でこの話題なのは申し訳ないですが。


先日、うちの祖父が亡くなりました。98歳でした。

今年に入ってから歩くのもつらくなり、ほぼ寝たきりで毎日ヘルパーさんのお世話になっておりました。
前日は頑張って自力で歩いたりもしていたのですが、ヘルパーさんが昼に帰って夕方にまた来たとき。
ベッドではなく、椅子に座ってうなだれた状態で発見。
ベッドに寝かせるも、呼吸は止まり脈もない。
救急搬送された病院で死亡が確認されました。
急性心不全だそうです。


本人の希望で自宅での介護を続け、ヘルパーさんをはじめ親戚の手も借りました。
認知機能も落ちて、時間の感覚がないため夜中に呼ばれることもありました。
自分で決めたことはすぐ行動に移す性格で、そのため迷惑をかけられたことも多々ありました。
僕は積極的に介護に参加していたわけではないですが、今現在、心に穴が開いた気分です。

 

20年前に妻を亡くし、以後ずっと一人で暮らしてきた祖父は、どんな気持ちだったのだろう。
誰にも看取られず、自室で一人、なにを考えて最期を迎えたのだろう。

 

みなが慌ただしく動いている中、誰もいなくなった部屋を少しずつ片付けながら。
そんな答えのない疑問が頭をよぎったのでした。

 

明日が葬儀です。

 


課題:土佐・龍馬であい博2017.02.27

 

ゴム印の話が続きますが、またゴム印を彫りました。

 

こちらは2010年の大印展の判下の部で出された課題なのですが、それをゴム印にしてみました。
もちろん手彫りです。
紙に書いた判下(印稿)をPCに取り込んで修正を加え、プリントアウトしたものをゴム板に転写して彫りあげました。

 

まず判下を書くところから何度も書き直しているため、完成まで何日もかかってしまいました。
彫るだけなら一日あればできるんですが……。

 

いざ捺してみると、やはりいろいろ反省点が見えてきます。
自分の未熟さを痛感しつつ、次回につなげていけたらいいなと思います。
次回の講習会で、先生の指導も頂きつつ。


切り回し終了2017.02.22

 

先日もお伝えしたかと思いますが、現在、一辺25㎝もある巨大なゴム印を彫っています。
ハンコの講習会で出された課題です。

 


手彫りゴム印の工程としては、
・図案をゴム板に転写する
・文字の輪郭に沿って、切れ込みを入れる(切り回し)
・文字と文字の間、余分な部分をさらう(浚い)
が主な柱となります。

 

木などに彫る木口彫刻と違い、ゴム印は工程数が少ないですが、ある意味木口より厄介です。
なにしろゴム印用の刀は木口よりも厳密に切れ味が求められますし、メンテナンスや砥ぎの頻度も高い。
下手に扱うと、5分も待たずに刀が使い物にならなくなります。
だからこそ高度な技術が必要で、以前に比べて需要も激減しているので、手彫りゴム印の職人は全国でもごくわずかです。

 

そんな難易度の高い技術だからこそ、学ぶのは楽しいし、未熟ながらも今こうして彫れていることに喜びを感じます。
今後も続けていきたいですね。

 


話を戻して、この巨大なゴム印。百福。
文字通り百通りの福の字が並ぶ課題ですが、ようやく切り回しの工程が終わりました。
一見しただけだと分からないので、丸の中だけ先にさらった状態です。
今後、文字の間や枠の外側をさらっていくわけですが……さて、あと何回刀を砥ぐことになるのやら。