堀松印房

第64回大印展へ2016.11.08

ハンコの技術を競う大会としては主に三つ。大競技会技能グランプリ、そしてこの大印展があります。
こちらは日本で一番古くからある大会で、今年で64回目。
今回、初めて大印展に出品したところ、ありがたくも名誉な賞を頂きました。

 

よって先日、その表彰式に参加するため大阪へ行ってまいりました。

 


なんせ初めての大阪。
さらに慣れない一人旅ですし、そう簡単に行けるとは思っていませんでしたが……。

 


まさか朝寝坊から始まるとは思いませんでした(汗

 


目が覚めたのは、出かける予定の少し前。急いで支度をして家を出たのは予定の30分後。
目覚ましをかけたのに全く気付かなかったという。
こんなことはめったにないので、よりによってなんで今日……という思いでいっぱいでした。

 

さらになんとか新幹線に乗り込むも、直後に送電線のトラブルとかで列車が停止。
15分ほどで動き出したものの、あまりにもひどいタイミングでまた予定が狂い。

 

なんとか大阪までたどり着いたはいいが、電車を乗り換えるたびに道に迷い。
会場にたどり着くまで、何度も駅の中をさまよいました。事前に駅構内の地図を用意していたにも関わらず。
東京駅や渋谷駅もかなりのものだとは思っていましたが、大阪駅もなかなかの魔境でした。
慣れてない人間が行けば、まず確実に道に迷います。

 

そんなこんなで、会場に着いたのは予定より一時間以上も過ぎてからでした……。

 

 

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会場は大きなホテルの中にある中華料理店。その宴会場を借りて各受賞作品が並べて展示してありました。

 

まずは受付で、出席者の記帳をするわけですが……。
用意されたのは筆と硯。そう、筆字で書けというのです。
目の前にはベテランの偉い人たち。自分の前に記帳された出席者のお名前は、どれもみな達筆で……。
そんな中で、自分の下手な字を書きこむことのなんと緊張を強いることか。
震えと手汗が止まりませんでした。
当然、まともな字など書けるわけがなく。
後から来られた方々があの字を見ると思うと、いたたまれない思いでいっぱいでした。

 

そんな、予想外の試練を乗り越えつつ、まずは作品の鑑賞。

 


やはりこういう仕事をしていますので、ほかの人の作品を見るというのはとても勉強になります。
自分の作品の改善点を見出したり、上位の作品からヒントをもらったり。

 

 

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自分の作品が並んでいるのを見ると、改めて身が引き締まる思いです。
手彫りゴム印:普通の部は、出品数が4つしかありませんでした。
銀賞ではありますが、その中で自分が一位。
つまり実質的には全国一位になってしまったということです。
もちろん、審査対象に加わっていないベテラン勢の技術力には到底及びません。
自分よりも上手な方はたくさんいらっしゃいます。
でも一位という肩書が持つ意味は、とても重い。

 

この後の表彰式で賞状を頂いてから、その実感がようやくわいてきたような気がします。
なにせ自分はまだ勉強を始めて10年にも満たない未熟者です。そして初参加。
それでも高い評価をしていただいた、審査員の方々に深く感謝いたします。

 

 

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帰り道も、電車に乗ろうとした絶妙のタイミングで人身事故でダイヤが乱れていたりと、己の不運を嘆いたりもしましたが。
わざわざ大阪まで行った価値はあったと思います。いい勉強になりました。

 

次回も出品するつもりですが、もう下手なものは出せませんね(笑


蔵書印まつり20162016.11.02

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先月29日、30日は蔵書印まつりでした。

 

このイベントに参加するのも3回目。歩道のわきにブースを構え、吹きさらしの中でひたすらハンコを彫りました。二日間。
去年もそうでしたが、とにかく寒い。風も強い。
まさしく寒風吹きすさぶという表現がぴったり。
そんななか、朝から夕方までハンコを彫ってるわけです。そりゃ手も冷えますわ。
当然、思ったほど作業ははかどりませんでした。

 

でも人通りが多い場所だったし、手彫りハンコの実演という物珍しさもあり、多くの方に足を止めていただきました。
隣では物販コーナーもあり、実際にハンコの注文も受けてました。12㎜の認印、銀行印限定でしたが。
手彫りしたゴム印もあり、なかなかの盛況でした。
二日間で、20本以上はハンコの注文があったかな? ゴム印の注文も合わせたらもっと。

 

お金をもらったら、当然彫らなくてはならない。
イベントが終わってからメンバーで仕事を振り分け、あとは各自が彫って発送する流れ。
去年は5本を彫りましたが、今回はなんと10本。2倍!?
でも発送期限も2倍になったので、そういう意味では一安心。
でもなるべく一日に2本は彫りたいので、がんばって彫りあげよう……。

 

ちなみに、イベント中に彫っていたものは完成させることができなかったので中断してます。
この仕事が終わったら再開、いずれ動画にしてネットに上げる予定です。
ただイラストハンコではないので、反応はいまいちかも。一応、元ネタはゲームですが。

 


イベント価格での受注でしたので、はっきり言って赤字です。

でもこういうイベントを通して、手彫りハンコを広く知っていただくのが目的でもあるわけで。

次のお仕事につながることを祈るのみです。

 


みなさんお疲れ様でした!
お越しいただいた皆様、ありがとうございました!


改めて告知。2016.10.22

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いよいよ来週の29日、30日に行われる「蔵書印まつり」に向けて、当日販売予定の手彫りゴム印を作りました。

 

そろそろ年賀状の季節ということもあり、年賀状で使える柄を用意しました。
大きいものでも25㎜以下ですので、ちょっとしたアクセントを添えるのによいかと。

 


さて今年も手彫りハンコの実演彫刻をすることになりそうですが、現在その準備中です。
さすがにイラストハンコは彫れないと思いますが、せっかくなので限界の細かさに挑戦しようかと。
去年と同じく、二重枠のハンコを彫る予定です。


スペースに余裕があれば、過去に彫った密刻を飾ろうかとも思っています。

 

まだまだ未熟ではありますが、一級技能士の技をぜひご覧くださいませ。

 

 

第22回蔵書印まつり
http://www.tokyoinsho.jp/www/zoushoin/

 

神田古本まつり
http://jimbou.info/news/furuhon_fes_index.html


印刷博物館へ2016.10.18

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先日、ハンコの技術講習会の野外研修として、東京の飯田橋にある印刷博物館へ行ってきました。

 

遥か古代の人間が壁に描いた絵から文字が生まれ、印刷技術が生まれ、パソコンを使う現代までのおおまかな流れを学びました。

 


文字の形に加工された金属の棒を組み合わせ、それにインクを塗り紙に捺す、それが活版印刷
一度書けばそれで終わりだったそれまでとは違い、何度も同じ文字を印刷できる。
文字を「活かす」から、活版印刷。

 

印面に朱肉を塗り、紙に捺すハンコと原理は全く同じです。

 


こういった印刷の文化は、なんと日本が世界で初だそうです。
よく中国が初だと思ってる人が多いですが、あちらは記録が残っていない。
でも日本にはちゃんと記録が残っていて、現物もある。それが世界で一番古いそうです。
説明してくださった職員さんが熱く語っておられました。

 


あとは、実際に活版印刷の体験。

 

棚に並んだ、アルファベットが刻まれた鉛の棒を一つ一つ並べて一文を作り、それをそのまま枠で固定し機械にセット。
あとは印刷する紙をセットしてレバーを下げるだけ。
ローラーにインクを塗り、活版にローラーを接触させ、紙に押し当てるまでが、レバーひとつで連動しているおもしろい機械でした。
決して大きくはない機械なのですが、非常によくできた機構で大変興味深かったです。

 

そうしてできたのが、写真右上のしおりです。
手作業でやったとは思えない鮮やかな印刷。昔の人々はこうやっていたんですね。
今回は一文だけ、しかもアルファベットのみでしたが、実際に本を手作業で刷っていた職人さんの苦労はどれほどだったのか。
全てコンピュータで出来てしまう現代では想像もできません。

機械彫りのハンコが主流となってしまったこちらの業界とも通じるものがあり、なんともいえない気分になりました。
手彫りの技術がいずれ博物館でしか見られないものにならなってしまわないよう、頑張らねばなりません。

 


そんなこんなで、見学は終了。
この数時間は大変有意義でした。

 

一般の方でも十分に楽しめると思いますので、ぜひ足を運んでいただきたいと思います。
時々、小学生が体験に来ているらしいですし。

 

 

印刷博物館

http://www.printing-museum.org/


まさかの快挙。2016.10.11

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今年3月に出品した、第21回全国印章技術大競技会の賞状が届きました。
木口密刻の部門で、褒状
金、銀、銅ときて4位の褒状なので、いわば全国4位です。

 

ですが実際は、5作品しかなかったそうです。その中での4位。率直に言えば下位です。
こんな立派な賞状を頂きましたが、正直に喜べない部分が大きいです。

 

一位の作品を拝見しましたが、とても太刀打ちできないと思いました。
デザインセンスも細かさも、それを彫りあげた力量も文句なしの一位でした。
人間にこれが彫れるのかという驚きと、極めた人間のレベルの高さに脱帽です。
これが上位の人間の実力。
嫉妬とか悔しいとかではなく、自分もいつか到達できたらと思うばかりでした。

 

 


そして実は、また別の大会に出品してました。


第64回大印展

 

先月に作品を送ったばかりですが、結果が出ました。


木口認印・実印の部:褒状

 

ゴム印普通の部:銀賞 大印協組技能士会長賞


木口は普通に認印と実印を彫る部門。
出品者も多く、これで上位がとれたらかなりの実力者ということになります。
褒状ということですが、実際は銀も銅も複数人が受賞されている可能性があるので、これも下位ということになるのでしょう。

 


問題は、ゴム印普通の部。

 

なんと銀賞を頂きました! さらに大印協組技能士会長賞という大層なものまで!
しかも知人からの情報によると、金賞に値する作品がなかったとのこと。

 

つまり、実質的に全国一位を取ってしまったことになります。

 

初参加でまさかの快挙……!

 

ただこのゴム印普通の部も、出品作はかなり少数だと思われます。
彫りゴムをやられる方自体がかなり少ないですし、注文が入ることもまずない。
手彫りゴム印そのものが、いわば絶滅危惧種になりかけているのです。
なので……この繰り上がり一位も素直に喜べないのが正直なところ。


今後は、木口の方で上位を狙えるようがんばっていこうと思います。