堀松印房

古印体:開運招福2019.12.30

 

24mm(八分角)古印体:開運招福

 

忙しくてしばらく更新できませんでしたが、久しぶりに講習会の課題を彫りました。

印影だと二重丸ですが、実は同じサイズの角印に彫っています。
つまり、□の中に〇を彫るわけです。

 

普段ならこんなことをする必要はないですが、これは円をいかにきれいに彫れるかという練習でもあります。
さらにこれは二重枠。
難易度はもっと上がっています。

 


書体は古印体。
篆書や楷書などと違い、明確に文字の形が決まっているわけではありません。
作者の好みや味が色濃く出る書体なので、むしろ難しいとも言えますが……どうでしょう。
バランスは悪くないと思います。円も目立ったゆがみはないですし。

 

季節的に、年賀状に捺してもいいかもしれません。

 

 

今回は、動画も作りました。

先日上げた歳の印の動画が、ニコニコ動画にてランキング一位になりました。ありがとうございます!
そこでいただいたたくさんのコメントの中から、いくかに返信させていただいています。

 


前編後編の二部構成になっておりますので、よろしければご覧ください。

 

前編

 

■YouTube
https://youtu.be/q6WLIKruw9A

 

■ニコニコ動画
https://www.nicovideo.jp/watch/sm36149459

 

 

後編

 

■YouTube

https://youtu.be/BiRZBgVv0Xk

 

■ニコニコ動画

https://www.nicovideo.jp/watch/sm36158886

 

 


ドキュメント:歳の印2019 その14「捺印」2019.12.14


ハンコは、彫っただけでは完成ではありません。
ちゃんと捺せて初めて完成です。

 

逆にちゃんと捺せないのであれば、失敗作になってしまいます。
なので、捺印というのは、今までの努力が報われるかどうかが決定する瞬間とも言えます。

 


さて、この歳の印。
この大きさですから、普通に捺そうとすると一筋縄ではいきません。
正直に言いますと、自分も普通の方法でちゃんと捺せる自信はありません。

 


ちなみに、大きなハンコには、きれいな印影が取れるようにある加工がされています。
実は印面の真ん中が盛り上がるよう、わずかに曲面になっています。
逆に真っ平では、捺した時に真ん中がうまく捺せないことがあるためです。
主に3センチを超えるハンコには、この加工をすることが多いです。

 


今回この歳の印にも、曲面加工はしてあります。

しかし期限が迫っていますし、確実に印影を取るために特殊な方法で捺します。


最初は普通に上から押し付け、そこから上下を裏返し、紙の上からこする。

 

条件として、プロのハンコ屋が使う朱肉、印泥を使うこと。
印泥は普通の朱肉より粘着力があるため、裏返すときに紙がはがれることがなくなります。

 

印泥についての解説はこちら

利点は、紙の裏から写り具合が分かるので、調整がしやすい。結果として失敗が減ります。

 


もちろん紙の質にも左右されますし、印泥の状態も重要です。
ハンコが大きくなるほど、捺印の難易度は跳ね上がります。


そのため、使えそうな印影がとれるまで20回は捺しました。


ここまでやって、ようやくほっとできました。
あとは納品して終了です。

 


印稿作り、道具作りから始まり、200時間を超える彫刻作業。
途中体を壊しながらも、ひたすらに彫り続けておよそ二ヵ月。
100%の力を出せたとは言えませんでしたが、期日前に終わってよかったです。

 


すでに公式サイトでは紹介記事が掲載されています。
よろしければご覧ください。

歳の印HP→ http://jskai.net/637.html

 


この歳の印は、すごい場所に展示されるそうです。
その時にはまた改めてお知らせいたします。

 

 


     

 


長い間、お付き合いありがとうございました!

 

 

 


◆ 動画 ◆

 

 

【手彫り】歳の印を彫る。05捺印


YouTube
https://youtu.be/ujT2L3m6x9M


ニコニコ動画
https://www.nicovideo.jp/watch/sm36085827

 


ドキュメント:歳の印2019 その13「価値」2019.12.13


正直なところ、自分はこの歳の印について、いい仕事をしたとは思っておりません。


ハンコ職人の本義とは、印面に唯一無二の文字を彫りこむこと。

彫る技術はもちろん大事ですが、印稿、つまり文字とバランスの方にウェイトを置くべきです。
そこがおろそかになったハンコに価値はありません。
いかに美しく彫られたものであったとしても。

 

そしてもう一つ、実用品を作る技術者であること。
ハンコなのですから、誰であろうと捺せなければ意味がありません。

 


それらの視点からこの歳の印を見ると。


まずなにより、製作期間が短かった。
動き出すのが遅かったため、なにより大事な印稿にかける時間を十分にとることができなかった。

その結果、不完全の印稿で彫り始めることになってしまいました。


さらには、実用品というにはあまりにも巨大なハンコ。
まず素人にはまともに捺せないでしょう。
プロである自分ですら、特殊な方法で20回近くも捺して、なんとか使えそうなものが数枚という有様です。

 


9センチ角に歴代元号506文字を彫りこむ、それ自体はすごいことです。
パフォーマンスとしては有効でしょう。

 


しかし……それは「ハンコ」と言えるのでしょうか。

 


誰も捺せない、そこに重要な意味や用途があるわけでもない。
ただ飾られるためだけに作られた「それ」に、果たして価値はあるのでしょうか。

 


何のための歳の印なのか。

 

 

依頼主の要望に応えるのも、ハンコ屋として正しい姿ではありますが……。

 

自分たちは、ハンコ屋です。彫刻家ではありません。

 

 

苦労して彫り終えた後も、釈然としないまま最後の作業へ移ります。

 

 


続く。

 

 


◆ 動画 ◆

 

 

【手彫り】歳の印を彫る。04仕上げ⑥114時間10分仕上げ終了

 

ついに仕上げ完了! 次回でラストです。


YouTube
https://youtu.be/1ThE-jxCkK4


ニコニコ動画
https://www.nicovideo.jp/watch/sm36081386


ドキュメント:歳の印2019 その12「彫る順番」2019.12.12


動画を見て気づかれた方も多いと思いますが、端っこから順番に彫っていくわけではありません。

わざと何行か飛ばして彫っています。


それはなぜか。

 

一文字一文字彫っていたら、ゴールのあまりの遠さにげんなりする。

それもあります。


過去に彫った文字が目印になり、次に彫る字を見失うことが減る。

それもあります。

 

でもそれよりも大きな理由は、文字の太さを揃えるためです。

 


自分では揃えているつもりでも、今彫った文字と過去に彫った文字の太さが違う。
そんなことがよくあります。
手彫りならなおさら。

 

だから、わざと隙間を開けて彫ることにより、過去に彫った隣の列の字と見比べることで太さを揃えやすくなります。
逆に過去の文字を見直すことも容易なので、結果として太さの差を縮めることができるわけです。

 


とはいえ……所詮は手作業。

実際にはどうしても差が生まれます。
506個もある文字の太さをすべて揃えるなんて、まず不可能です。


でも一文字ずつ彫っていったら、その修正だけでかなりの時間を消費してしまうでしょう。

時間短縮という意味でも、この彫り方は有効だと思います。

 

ちなみに、普段の仕事でもこの方法で彫っています。

 


続く。

 

 


◆ 動画 ◆

 

 

【手彫り】歳の印を彫る。04仕上げ⑤80時間経過

 

YouTube
https://youtu.be/3iXyK-H8za8


ニコニコ動画
https://www.nicovideo.jp/watch/sm36077375

 


ドキュメント:歳の印2019 その11「撮影」2019.12.11


今回に限らず、彫刻途中を撮影しては動画に残してきました。

その際に最も気を付けるのは、アングルです。


手が邪魔で刃先が隠れてしまったり、ライトの明かりで印面が見づらかったり。
ベストポジションを探すのに毎回苦労しています。

 

しかも、うちにあるのは三脚のみ。

可動式アーム型の撮影道具でもあれば、もっと自由にアングルを探ることがきるのですが……。
なかなかいいものが見つからず。
そういう本格的なものは、高額なものも多いですし。

 


そんなわけで、今回も三脚を駆使して撮影しました。

使用したカメラは、一年半ほど前に買ったハンディカメラです。

 


 


4Kほどの画質は無理ですが、それでも以前に使っていた古いデジカメよりは断然高画質。
動画の説得力が増しました。

 


 

 

あとこのカメラの特徴として、ワイプ撮り機能というものがあります。
動画でもありましたが、メインで撮る映像とは別に、サブカメラで別アングルを同時に撮ることができます。
撮影者本人を撮ったり、隣にいる人を撮ったり。
今回は、サブカメラを前方に回して、引いたアングルで撮りました。

 

印面だけでなく、彫刻者も撮影できた。
こういうハンコの紹介動画としては、有効だったかと思います。

 

 

 

続く。

 

 


◆ 動画 ◆

 

 

【手彫り】歳の印を彫る。04仕上げ④60時間経過

 

YouTube
https://youtu.be/BsTcFVmrtM0


ニコニコ動画
https://www.nicovideo.jp/watch/sm36072806